こんにちは。

サックス講師の鈴木博子です。

前回のブログでは、脳に正しい記憶をさせる「引き算の練習法(超スロー・分解練習)」をお伝えしました。

さて、今回はその続編として、 「楽器を持たない時間に、脳内で演奏を完璧にするイメージトレーニング編」をお届けします。

「仕事や部活動が忙しくて、お家で楽器を吹く時間がなかなか取れない…」 「本番が近づいてきて、どうしても緊張してしまう…」

そんな吹奏楽部の学生さんや、本番を控えているすべての演奏者にこそ、ぜひ試していただきたい究極の効率的練習法です。

■ なぜ、イメージトレーニングでサックスが上手くなるのか?

「イメージするだけで上手くなるなんて、本当?」と思うかもしれません。

しかし、最新の脳科学やスポーツ心理学(そして私が大切にしている、体の無駄な力を抜く視点)でも、「鮮明にイメージしている時、脳は実際に楽器を吹いている時と同じ指令を筋肉に送っている」ということが分っています。

特に、指が回らない、息が苦しくなる、といった問題の多くは、実は楽器を持つ前から「脳が焦っている(パニックになっている)」ことが原因です。

楽器を持たない静かな時間にあらかじめ脳内の交通整理をしておくことで、いざ楽器を持った時に、驚くほど指や体がスムーズに動くようになります。

今日お伝えする方法は、実際に私も大切な本番前に行うことで、緊張していても練習通りに近いパフォーマンスを発揮することが出来た経験から、今日からできる、具体的な「3つのステップ」をご紹介しますね。

■ 脳と体を味方につける「イメトレ」3つのステップ

ステップ①:五感を使って「リアルな状態」を思い浮かべる

まずは目をつむり、自分がサックスを吹いている姿を想像します。 この時、単に楽譜を思い浮かべるのではなく、五感すべてをフル活動させるのがポイントです。

  • 手に触れるサックスの温度やキーの重み

  • リードの感触や、マウスピースをくわえたときの感覚

  • 自分が立っている会場の景色や、音の響き

 脳内演奏をする時は、いつもの自宅や練習室ではなく、「今度本番で演奏する、あのステージの真ん中」に立っている自分をイメージしてください。 ホールの照明の眩しさ、客席の広さ、ステージ独特の静けさや響き……。 その空間に自分が立ち、心地よくサックスの響きをホール全体に届けている姿をリアルに想像するのです。あらかじめ脳内で「ステージの空間」に慣れておくことで、本番当日の不要なドキドキを、心地よいワクワクへと変えることができます。

もし、行ったことのない会場の場合は、ウェブページを検索すれば必ずステージの写真を見ることが出来ます。

ステップ②:脳内でも「超スローモーション」で演奏する

リアルな感覚が作れたら、苦手なフレーズを脳内で演奏していきます。 ここでのコツは、前回の記事でもお話しした「絶対に間違えないスピードまでテンポを落として再生する」ことです。

頭の中で、自分の指がキーを正確に、無駄な力なく、しなやかに押さえていく様子をスローモーション動画のように見つめます。

もし頭の中でも指がつまずきそうになったら、一度一時停止して、さらにゆっくり再生してください。 「頭の中で100% 完璧に、美しく吹けている状態」を脳に記憶させることが目的です。

ステップ③:余計な緊張に気づき、「脱力」を予約する

イメトレ中、苦手な箇所にさしかかった時、 「あ、今、頭の中で肩に力が入ったな」 「息を吸いすぎて喉が締まったな」 と気づく瞬間があります。

気づいたら、頭の中でその動きを一度リセットします。 そして、「頭が自由に動いて、首が楽で、体全体が広がったまま、楽に指が動いている」という、無駄な力のない理想的な自分の状態をイメージの中で作ってあげてください。

これをしておくだけで、次に楽器を持った時、体が勝手に「あ、あの楽な吹き方ね」と思い出してくれます。

🌟 さらに効果を高める!潜在意識を味方につける「究極の裏技2選」

①必ず「大成功して、鳴り止まない拍手」で終わる

頭の中でのシミュレーションは、途中で絶対に終わりにしないでください。 必ず、最後の1音が美しくホールの空間に溶けていき、「最高の演奏ができて、お客様から温かい拍手が鳴り響いているシーン」までをセットでイメージして終わります。 脳に「上手くいった!最高に気持ちよかった!」というゴールの感情を味合わせることが、一番の特効薬になります。

② 「ベッドに入って、寝る直前」にやる

これが最大のポイントです。 人間は、寝る直前のまどろんでいる時に、一番「潜在意識(無意識の領域)」の扉が開くと言われています。 スマホを置いて、お布団に入って目を閉じたあとの数分間。今日お話しした「本番のステージで、完璧に指が動き、大成功の拍手で包まれるイメージ」を思い浮かべながら、心地よい気分のまま眠りについてください。 寝ている間に、脳が勝手に「サックスが上手く吹けた最高のイメージ」を体と心に定着させてくれます。

■ まとめ:楽器を持てない日も、立派な練習日

このイメージトレーニングは、夜寝る前の数分、ちょっとした隙間時間で行うことができます。

頑張ってガムしゃらに息を吹き込むだけが練習ではありません。 「自分の体と脳を味方につけて、一番ラクで美しい響きをあらかじめデザインしておくこと」。これこそが、サックス上達の近道です。

今日から取り入れて、本番で自分の実力を発揮しましょう!